2023.08.03
【祝!】杉田協士さん 新作長編映画『彼方のうた』が第80回ヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門正式出品決定!
『彼方のうた』海外版ポスタービジュアル 世田谷美術館地下・…
当館の年間講座「美術大学」で2005年より映画ワークショップの講師をつとめていただき、身体表現のワークショップやパフォーマンス公演の記録映像なども撮影していただいている映画監督、杉田協士さん。
映画監督の杉田協士さん 撮影:鈴木理絵
杉田監督の最新作である長編映画『彼方のうた』が、第80回ヴェネチア国際映画祭のヴェニス・デイズ部門に正式出品されます!2021年に、前作である『春原さんのうた』が、第32回マルセイユ国際映画祭においてグランプリ・最優秀俳優賞・観客賞の三冠を受賞したことも記憶に新しい杉田監督。さらなる快挙、本当におめでとうございます!
『彼方のうた』の主人公は、書店員である春(小川あんさん)。助けを必要としている見知らぬ人のことを思い、手を差し伸べ、丁寧に関係を築いていこうとする春が、こどもだった頃に声をかけたことのある雪子(中村優子さん)と剛(眞島秀和さん)に時を経て再会し、それぞれの関係が動き出していくという物語。
『彼方のうた』より、左から雪子役の中村優子さん、春役…
杉田監督は近年、短歌を原作とした『ひかりの歌』(2017年)や前述の『春原さんのうた』(2021年)を手がけていますが、今作は、デビュー作である『ひとつの歌』(2011年)以来のオリジナル作品となるそうです。
実は、この作品に世田谷美術館も深くかかわっています。ポスタービジュアルを見て気づかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、春がいる場所は当館地下階にある「創作の広場」。当館の映画ワークショップでもよくこの場所をロケ地とし、撮影を行なっていますが、まさにその場所で『彼方のうた』のあるシーンの撮影も行われました。実際に撮影現場に立ち会わせていただき、杉田監督と長年続けてきた映画ワークショップの状況とも重なる、なんとも不思議な感情に包まれました。これまでのご縁や活動が巡り巡って『彼方のうた』にも通じていることを想うと、大変感慨深いものです。
映画ワークショップでは、「ただそこにあるもの/できごと」と向き合うこと、記録することを大切にした実践を展開されている杉田監督。ワークショップでのそのような取り組みからも、静かなまなざしで世界をとらえつつ観る者の心に強い感銘を与える、杉田監督の映画作品の魅力を度々感じていました。
『彼方のうた』の国内での劇場公開は2024年で、動画配信プラットフォームでも配信予定とのこと。公開が大変待ち遠しいです。
また製作スタッフには、飯岡幸子さんが撮影、大川景子さんが編集として参加されています。お二人にも当館の映画ワークショップや記録撮影でご活躍いただいており、スタッフ陣にも大注目です。
ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭と並び、世界三大映画祭の一つとして知られるヴェネチア国際映画祭。記念すべき第80回目となる今回は、イタリア時間の8月30日から9月9日まで開催され、杉田監督も出席予定です。
ヴェニス・デイズは、革新性や探究心、オリジナリティ、インディペンデント精神などにあふれた作品がセレクションされる部門で、『彼方のうた』はそのコンペティションに出品されます。各国から多くの映画関係者が集い、どのような雰囲気のなか上映されるのでしょうか。会場の様子をうかがえる日も楽しみに待ちたいと思います。
まずはみなさまに良き第一報をお届けいたしました。
改めて、杉田監督おめでとうございます!
杉田協士さんに関する当館Webサイトでの過去のコンテンツ・記事は、こちらよりご覧いただけます。
■2021.12.15 「話題の長編映画『春原さんのうた』、当館ショップで前売り鑑賞券を好評発売中!」■2021.08.05 「【杉田協士監督本人の長文コメントあり!】『春原さんのうた』が三冠受賞! そのマルセイユ国際映画祭とは?」 ■2021.06.24 「祝! 杉田協士さんの新作長編映画『春原さんのうた』、第32回マルセイユ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門に正式出品決定!」■2020.11.26 「セタビPodcasting Vol.63-64(杉田協士氏「作品のない展示室」クロージング・プロジェクト パフォーマンス「明日の美術館をひらくために」に関連した音声コンテンツ【前編】【後編】)杉田協士(すぎた きょうし)氏 プロフィール
東京都出⾝。『ひとつの歌』(2011)、『ひかりの歌』(2017)がそれぞれ東京国際映画祭などへの出品を経て劇場公開。『春原さんのうた』(2021)が第32回マルセイユ国際映画祭にてグランプリを含む3冠を獲得、第70回マンハイム=ハイデルベルク国際映画祭ではライナー・ヴェルナー・ファスビンダー賞特別賞を受賞し、他にもサン・セバスチャン国際映画祭、ニューヨーク映画祭、釜⼭国際映画祭、サン・パウロ国際映画祭、ウィーン国際映画祭、FICUNAM、⾹港国際映画祭など世界各地の主要な映画祭を巡り、2022 年に劇場公開。第36 回⾼崎映画祭にて最優秀監督賞受賞。今作が⻑編4作⽬となる。
E.Y
投稿者:E.Y
2023.08.03 - 11:00 AM