日本の現代美術を語るうえで常に重要な位置を占める、高松次郎(1936-1998)、若林奮(1936-2003)、李禹煥(1936- )。
三人とも立体と平面という境界を跨いで旺盛に作品を制作・発表しています。そのなかでも、1970年代以降、積極的に「版」による表現に取り組んでいることは注目に値するでしょう。
高松次郎は1980年代末にスクリーンプリントによる連作に取り組みました。版の重ね合わせやインクの色を変え、そこから生まれる形を確認していく作業は、同時期の油彩作品の制作と関連したものと見ることができます。若林奮は金属による彫刻とともに版画も数多く制作してきました。版を繋ぎ合わせて画面を構成した作品や、過去の版に手を加え刷り直した作品もあり、銅板を手にして彫刻と版画を行き来していたことがわかります。李禹煥は今なお継続的に版画を手掛けて発表しています。絵画よりも自分と距離を置くことができ、他者性が入るメディアである版画を中間項と考え、そこで試みたものを絵画に移そうとしている―とも語っています。
このように見ていくと、それぞれが「版」を媒介とすることで、制作についての思索を深化させていったともいえるかもしれません。三人の創造の軌跡を再考する機会ともなる「版」の世界を、お楽しみください。
本展覧会は昨年春に開催を予定していた「驚異の三人!! 高松次郎・若林奮・李禹煥―版という場所で」展を、ミュージアム コレクション(当館収蔵品展)の枠組みで再構成したものです。
上記展覧会にあわせて制作したカタログ(四六判上製本、全216頁)も販売しています。
小コーナーでは、2020年8月に逝去された写真家・アートドキュメンタリストの安齊重男(1939-2020)を追悼する展示を行います。
三人とも立体と平面という境界を跨いで旺盛に作品を制作・発表しています。そのなかでも、1970年代以降、積極的に「版」による表現に取り組んでいることは注目に値するでしょう。
高松次郎は1980年代末にスクリーンプリントによる連作に取り組みました。版の重ね合わせやインクの色を変え、そこから生まれる形を確認していく作業は、同時期の油彩作品の制作と関連したものと見ることができます。若林奮は金属による彫刻とともに版画も数多く制作してきました。版を繋ぎ合わせて画面を構成した作品や、過去の版に手を加え刷り直した作品もあり、銅板を手にして彫刻と版画を行き来していたことがわかります。李禹煥は今なお継続的に版画を手掛けて発表しています。絵画よりも自分と距離を置くことができ、他者性が入るメディアである版画を中間項と考え、そこで試みたものを絵画に移そうとしている―とも語っています。
このように見ていくと、それぞれが「版」を媒介とすることで、制作についての思索を深化させていったともいえるかもしれません。三人の創造の軌跡を再考する機会ともなる「版」の世界を、お楽しみください。
本展覧会は昨年春に開催を予定していた「驚異の三人!! 高松次郎・若林奮・李禹煥―版という場所で」展を、ミュージアム コレクション(当館収蔵品展)の枠組みで再構成したものです。
上記展覧会にあわせて制作したカタログ(四六判上製本、全216頁)も販売しています。
小コーナーでは、2020年8月に逝去された写真家・アートドキュメンタリストの安齊重男(1939-2020)を追悼する展示を行います。