ちょっと心がくすぐられる、生命感あふれる有機的なフォルムの作風で知られる高橋秀(1930-)は広島県福山市で生まれ、1961年に安井賞を受賞しました。 藤田桜は東京に生まれ、現在の大妻女子大学を卒業後、少女雑誌『ひまわり』の編集者として若き日を過ごしました。やがて、ふたりは出会い、1958年に結婚します。新居を世田谷・弦巻に定め新生活をスタートさせましたが、1960年代のはじめには日本を離れ、ふたりはイタリアにわたり2004年までの41年間、ローマを暮らしと制作の拠点としました。 高橋は現代美術作家としてヨーロッパ各地、そして日本でも作品を発表し、藤田は布貼り絵という独特な表現で、子どもむけ図書の表紙絵や絵本の制作を重ねました。現在、ふたりは岡山県倉敷市の沙美(さみ)海岸にアトリエを構え、互いに90歳前後となってもなお、 それぞれに作品の制作を続けています。本展では、この素敵なふたりの歩みと、その創作の軌跡を最近作も交えてご紹介いたします。