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企画展(終了)
わたしたち人間は、太古の昔から、犬、猫、鳥、牛、馬などさまざまな生き物と共に暮らしてきました。そして、多くのアーティストたちも身近な動物たちを恰好のモチーフとして作品に描いてきました。本展では、当館のコレクションから古今東西、様々な手法で表現されたいろいろな動物の作品をご覧いただきます。共に生き、時にわたしたちの思いを乗せ、絵画に、彫刻に登場する動物たちの姿をお楽しみください。コロナ禍を経験した後の新生活スタイルを意識したオンラインコンテンツやワークショップなどの関連イベントも予定しています。
イベント(終了)
空っぽの展示室にてパフォーマンスのお披露目。そしてアーティストによるトーク!イタリアを拠点に活動するアーティスト、吉田萠による空想の動物〈蛙犬〉。吉田の幼少期の記憶や体験などから生まれたこの不思議な存在とともに、ワークショップに参加されたみなさんが創作したパフォーマンスをお披露目します。パフォーマンスのお披露目会場は、「わたしたちは生きている!セタビの森の動物たち」展が終わり、空っぽになった1階展示室。終演後には今回のプロジェクトを振り返るトークもたっぷりお送りします。ぜひどなたでもお越し下さい。・A4チラシ(PDF)~〈蛙犬〉とは?~吉田萠が幼い頃、恐怖の対象であった動物が「蛙」と「犬」。この2種の動物にまつわる個人的な体験などを出発点に、「人間社会と動物の関係」について思いをめぐらせたイメージが作品のモチーフとなっている。彫刻作品である〈蛙犬〉は棒づかい人形でもあり、それらから派生したドローイング作品も展開中。企画原案:吉田 萠 (美術家)Photo:堀 哲平1998年渡伊、2004年ボローニャ美術学院絵画科卒業。現代美術と劇空間を表現活動の場として制作を行っている。最近の主な仕事に、個展「蛙犬」(GALLERY TAGA2、東京、2021年)、グループ展「イタリア俗語」(イタリア文化会館、東京、2021年)、「SENZA SAPERE DOVE – POETICHE DEL FUORI(どことも知れず――外部の詩情)」(Villa Davia、サッソ・マルコーニ、イタリア、2023年)など。ヴェジェッティ作品への参加として、人形劇「ペレアスとメリザンド」(Swedish Cottage Marionette Theater、ニューヨーク、2017年)、パフォーマンス「風が吹く限りずっと――ブルーノ・ムナーリのために」(世田谷美術館、2018年)、細川俊夫作曲オペラ「班女」(サントリーホール、2009年/カタパルトオペラ、ニューヨーク、2022年)、コラボ作品として「視線の地獄 モーリス・メーテルリンクの人間と動物の世界より」(MAMboボローニャ近代美術館、2019年)などがある。ゲストディレクター/コレオグラファー:ルカ・ヴェジェッティ (演出家・振付家)Photo:堀 哲平1990年より振付家、演出家として活動。作品はWorks & Processグッゲンハイム、マーサ・グラハムダンスカンパニー、シテ・ドゥ・ラ・ミュジック等で制作・上演され高い評価を得てきた。近年の仕事に原案・演出・振付を手がけた「左右左」(横浜能楽堂とジャパン・ソサエティー〈ニューヨーク〉の共同制作、2017年)、ジェローム・ロビンス作品を再読・新演出した「Watermill」(ブルックリン音楽アカデミー、2018年)、サルバトーレ・シャッリーノ作曲オペラ「Infinito Nero」(ボローニャ、2021年)など。美術館のための作品に、パフォーマンス/ビデオインスタレーション「Scenario」(MART、ロヴェレート、2016年)、パフォーマンス「風が吹く限りずっと――ブルーノ・ムナーリのために」(世田谷美術館、2018年)、演能を世田谷美術館の空間のために再考した「夢の解剖――猩々乱」(世田谷美術館、2021年)、2009年に日本初演を手懸けた細川俊夫作曲オペラ「班女」の新演出(カタパルトオペラ、ニューヨーク、2022年)などがある。
イベント(終了)
〈蛙犬〉と一緒に、展覧会のアフターパフォーマンスをつくってみませんか?イタリアを拠点に活動するアーティスト、吉田萠による空想の動物〈蛙犬〉。吉田の幼少期の記憶や体験などから生まれたこの不思議な存在と参加者のみなさんが協働し、パフォーマンス作品をつくるワークショップです。パフォーマンスのお披露目会場は、「わたしたちは生きている!セタビの森の動物たち」展(2023年2月28日〜4月9日)が終わり、空っぽになった1階展示室。ワークショップ講師には吉田萠、パフォーマンス演出には演出家・振付家のルカ・ヴェジェッティをお迎えしますぜひ一緒に、“セタビの森”を想起させるような今回限りのパフォーマンスをつくりましょう。・A4チラシ(PDF)~〈蛙犬〉とは?~吉田萠が幼い頃、恐怖の対象であった動物が「蛙」と「犬」。この2種の動物にまつわる個人的な体験などを出発点に、「人間社会と動物の関係」について思いをめぐらせたイメージが作品のモチーフとなっている。彫刻作品である〈蛙犬〉は棒づかい人形でもあり、それらから派生したドローイング作品も展開中。吉田 萠 (美術家)Photo:堀 哲平1998年渡伊、2004年ボローニャ美術学院絵画科卒業。現代美術と劇空間を表現活動の場として制作を行っている。最近の主な仕事に、個展「蛙犬」(GALLERY TAGA2、東京、2021年)、グループ展「イタリア俗語」(イタリア文化会館、東京、2021年)、「SENZA SAPERE DOVE – POETICHE DEL FUORI(どことも知れず――外部の詩情)」(Villa Davia、サッソ・マルコーニ、イタリア、2023年)など。ヴェジェッティ作品への参加として、人形劇「ペレアスとメリザンド」(Swedish Cottage Marionette Theater、ニューヨーク、2017年)、パフォーマンス「風が吹く限りずっと――ブルーノ・ムナーリのために」(世田谷美術館、2018年)、細川俊夫作曲オペラ「班女」(サントリーホール、2009年/カタパルトオペラ、ニューヨーク、2022年)、コラボ作品として「視線の地獄 モーリス・メーテルリンクの人間と動物の世界より」(MAMboボローニャ近代美術館、2019年)などがある。ルカ・ヴェジェッティ (演出家・振付家)Photo:堀 哲平1990年より振付家、演出家として活動。作品はWorks & Processグッゲンハイム、マーサ・グラハムダンスカンパニー、シテ・ドゥ・ラ・ミュジック等で制作・上演され高い評価を得てきた。近年の仕事に原案・演出・振付を手がけた「左右左」(横浜能楽堂とジャパン・ソサエティー〈ニューヨーク〉の共同制作、2017年)、ジェローム・ロビンス作品を再読・新演出した「Watermill」(ブルックリン音楽アカデミー、2018年)、サルバトーレ・シャッリーノ作曲オペラ「Infinito Nero」(ボローニャ、2021年)など。美術館のための作品に、パフォーマンス/ビデオインスタレーション「Scenario」(MART、ロヴェレート、2016年)、パフォーマンス「風が吹く限りずっと――ブルーノ・ムナーリのために」(世田谷美術館、2018年)、演能を世田谷美術館の空間のために再考した「夢の解剖――猩々乱」(世田谷美術館、2021年)、2009年に日本初演を手懸けた細川俊夫作曲オペラ「班女」の新演出(カタパルトオペラ、ニューヨーク、2022年)などがある。
イベント(終了)
蛙犬がセタビの森にやってくる!?蛙犬がセタビの森へ遊びにきます。イタリアを拠点に活動するアーティスト、吉田萠による空想の動物〈蛙犬〉。吉田の幼少期の記憶や体験などから生まれたこの不思議な存在が世田谷美術館、そしてセタビの森を訪れます。遭遇をお楽しみに。・A4チラシ(PDF)~〈蛙犬〉とは?~吉田萠が幼い頃、恐怖の対象であった動物が「蛙」と「犬」。この2種の動物にまつわる個人的な体験などを出発点に、「人間社会と動物の関係」について思いをめぐらせたイメージが作品のモチーフとなっている。彫刻作品である〈蛙犬〉は棒づかい人形でもあり、それらから派生したドローイング作品も展開中。吉田 萠 (美術家)Photo:堀 哲平1998年渡伊、2004年ボローニャ美術学院絵画科卒業。現代美術と劇空間を表現活動の場として制作を行っている。最近の主な仕事に、個展「蛙犬」(GALLERY TAGA2、東京、2021年)、グループ展「イタリア俗語」(イタリア文化会館、東京、2021年)、「SENZA SAPERE DOVE – POETICHE DEL FUORI(どことも知れず――外部の詩情)」(Villa Davia、サッソ・マルコーニ、イタリア、2023年)など。ヴェジェッティ作品への参加として、人形劇「ペレアスとメリザンド」(Swedish Cottage Marionette Theater、ニューヨーク、2017年)、パフォーマンス「風が吹く限りずっと――ブルーノ・ムナーリのために」(世田谷美術館、2018年)、細川俊夫作曲オペラ「班女」(サントリーホール、2009年/カタパルトオペラ、ニューヨーク、2022年)、コラボ作品として「視線の地獄 モーリス・メーテルリンクの人間と動物の世界より」(MAMboボローニャ近代美術館、2019年)などがある。
イベント(終了)
【第一線で活躍するダンサーと一緒に、動物や草木や空想の生き物になって、出会ったことのない新しい身体感覚を体験しよう!】沢山の動物が登場する旧約聖書の「ノアの方舟」のお話。その有名なテキストを元にして、演劇ともダンスとも異なる身体表現"オイリュトミー"版「ノアの方舟」を全5日間の講座で創作し、5日目に発表します。オイリュトミーとは、言葉や音楽を呼吸と共に全身の動きで表現する身体芸術です。子供からご高齢の方までどなたでも体験できるゆるやかな身体表現であるオイリュトミーは、シュタイナー教育などで知られる思想家ルドルフ・シュタイナーによって考えだされました。生きる、とは、「動くこと」そのものです。そして「動き」には「表現」があります。この春、セタビでどんな未知の体験が待っているのか⁉︎ダンスや演劇が未経験の方も大歓迎です。皆さま、奮ってご参加下さいませ。講師鯨井謙太郒 (振付家・ダンサー・オイリュトミスト)笠井叡に師事。KENTARO KUJIRAI コンペイトウ主宰。WEU。ユリイカ!!プロジェクト。仙台と東京を拠点に国内外で舞台公演やワークショップ活動を行う。第50回舞踊批評家協会賞新人賞。令和元年度宮城県芸術選奨舞踊部門新人賞。世田谷美術館美術大学講師。定方まこと (オイリュトミスト・ダンサー)1996年笠井叡に師事。オイリュトミーシューレ天使館第二期を修了の後、国内外の多数の舞台公演に出演。主演映画「不在という存在」が2023年春公開予定。世田谷美術館美術大学講師、自主学校遊専科講師。
イベント(終了)
ヌシとは、何百年もの間、同じ場所にいたために体は大きくなり、強大な力を宿した謎の生きものである。何十年、何百年とこの世に存在し続けている作品がある世田谷美術館、つまりセタビの森にも、きっとヌシはいるに違いない…セタビの森を探検し、ヌシを作り、出現させよう。そしてさくら祭でまつろう。・A4チラシ(PDF)講師:スギヤマカナヨ K.スギャーマ博士冒険家。1997年に地図にない島・ノーダリニッチ島での探検にて、100種以上の未知の生命体を発見。この研究をもとに『K・スギャーマ博士の動物図鑑』『K・スギャーマ博士の植物図鑑』(共に絵本館)を発表。現在も新たな生物との出会いを求め、世界各地を訪れている。美術館の生態系にもくわしい。K.スギャーマ博士こと、スギヤマ カナヨ(絵本作家)静岡県生まれ。東京学芸大学初等科美術卒業。『ペンギンの本』(講談社)で講談社出版文化賞受賞。主な作品に『K・スギャーマ博士の動物図鑑』『K・スギャーマ博士の植物図鑑』(共に絵本館)、『ゾウの本』『ネコの本』『てがみはすてきなおくりもの』『山に木を植えました』(以上、講談社)
イベント(終了)
展覧会をもっと楽しむためのヒントをわかりやすくお話します。
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2023年3月から4月にかけて実施した「蛙犬プロジェクト」。イタリアを拠点に活動するアーティスト、吉田萠さんによる空想の動物〈蛙犬〉と、世田谷美術館に集った様々なメンバーとともに展開したプロジェクトです。その様子を2回のブログでお伝えします。まずは3月に行なった蛙犬プロジェクト第1弾、「蛙犬inセタビの森」。当館の年間講座、「美術大学」の修了生や鑑賞リーダー(美術館ボランティア)の有志メンバーとともに、1階展示室で当時開催していた「世田谷美術館コレクション選 わたしたちは生きている! セタビの森の動物たち」展に蛙犬が訪れる、というイメージでパフォーマンスをつくりました。3月30日に行うパフォーマンス本番に向けて、事前練習会を2日間実施。まずは蛙犬を操作してみるところからスタートです。蛙犬は3本の棒で操ることが可能なマリオネットで、棒がそれぞれ右足、左足、背中につながっており、3名が息を合わせて動かすことで、ゆっくりと歩行させることができます。初日はとにかく操作に慣れることであっという間に終了時間に。地下創作室での練習会。吉田萠、参加メンバー、蛙犬。(…2日目の練習会では、実際の会場でリハーサルを行いました。練習を重ねるうちに、蛙犬とメンバーが徐々に一心同体となっていき、本当に命が吹き込まれたかの如く歩行する姿がみられました。そしていよいよ3月30日本番。当館の開館記念日でもあるこの日は、開館時からエントランス・ホールには展示作品のように蛙犬が鎮座。本番開始時刻になると、そこに操作メンバーが整然とした雰囲気で登場します。エントランス・ホールにてパフォーマンスが始まる様子。…本番の様子は、こちらの動画でご覧いただけます。パフォーマンスの一部始終をダイジェスト映像に編集し公開しました。ぜひご覧ください。「吉田萠「蛙犬プロジェクト:蛙犬inセタビの森」ダイジェストムービー Frog Dog Project: Frog Dog in the Museum Forest [Digent film]」(約8分30秒) 撮影・編集:杉本 篤→動画をYouTubeで見る また、4月1・2日には、当館恒例の「さくら祭」にて2回目の本番を実施。緊張感や静けさが漂う展示室とは対照的に、屋外の美術館前広場や庭園にて行いました。春の陽気も感じられ、お祭で賑わう雰囲気のなか、蛙犬もどこか解放されたかのようにのびのびと練り歩きました。小型の蛙犬も2体登場。より浮遊感が増したパフォーマンスとなりました。「さくら祭」会場にて。美術館の庭園を歩く蛙犬と小型蛙…ブログページに掲載予定の「蛙犬プロジェクト:リポート②」では、公募で集まった新たなメンバーとのワークショップ(4月9、12、13日)と、本番のパフォーマンス(4月14日)、また同日に開催した、吉田萠さんとルカ・ヴェジェッティさんをお迎えしたトークの様子をお伝えします。どうぞお楽しみに。「世田谷美術館コレクション選 わたしたちは生きている!セタビの森の動物たち」展関連企画「蛙犬プロジェクト Frog Dog Project」 蛙犬inセタビの森日程:①3月30日(木)11:00-11:30/15:30-16:00 ②4月1日(土)10:05~11:40/14:30~15:00、2日(日)11:30~12:00/14:30~15:00会場:世田谷美術館基本情報は《こちらをクリック》デジタルコンテンツ「イベントレポート」にもどる→こちら
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※2023年3月18日から開催した「世田谷美術館コレクション選 わたしたちは生きている! セタビの森の動物たち」展関連ワークショップの様子を「セタビの森のヌシ 生体調査報告」として報告書の形式でご紹介します。この不思議な図像は、世田谷美術館のヌシを表したものである。2023年3月にスギャーマ博士率いるセタビの森のヌシ生体調査隊の実地調査により、姿が判明した。以下に、その調査の記録を記す。一般的に美術館の第一の使命は美術作品の保管である。これらの中には人から人へと思いが受け継がれたために、制作から100年、1000年という長い時間をこの世に留まり続けるものもある。世田谷美術館にはこのような美術作品が約1万7000点も収蔵されている。ときに、日本には古来こうした「長い時間」「同じ場所に留まり続けている」ものにはヌシが宿るという言い伝えがある。ならば世田谷美術館にもすでにヌシが存在するに違いない。こうした経緯があり、世田谷美術館は美術館に住まうヌシの生体調査を行うことになったのであった…。この調査には未知の生体に詳しい冒険家・スギャーマ博士に依頼をした。博士は1997年に地図にない島・ノーダリニッチ島での探検にて、100種以上の未知の生命体を発見したという実績があるようだ※。本調査の目的は、我々人間がヌシを大事に思い、世田谷美術館で今後もともに過ごしていきたい旨を、ヌシに示すという点にある。したがって博士と相談の末、調査ではヌシの生体を特定、その姿を模した依代【よりしろ】を作り、そのお練りを行うという具体策が決定した。こうした経緯があり、スギャーマ博士の要請のもと、ヌシ調査隊の隊員が招集される運びとなった。※スギャーマ博士こと絵本作家・スギヤマカナヨ氏が発行した絵本『ノーダリニッチ島 K・スギャーマ博士の動物図鑑』(絵本館、1991年)より2023年3月18日、19日 調査始動雨が降るどこかどんよりと重たい天候のなか、一般公募により集ったヌシ調査隊総勢18名が美術館に結集、調査が開始された。調査本部を地下創作室に設置、初日となるこの日は世田谷美術館の成り立ち、ヌシの生体に関する報告、スギャーマ博士より未知の生命体に関する研究報告がなされた。『K.スギャーマ博士の動物図鑑』に描かれた未知の生命…続いて美術館の実地調査を開始。調査対象エリアは主に1階展示室、ヌシが生息している可能性の高い場所、そして作品が保管されているエリア。目に見えない可能性の高いヌシの調査にあたっては、視覚だけではなく、触れてみる、においを感じてみる、音に耳を傾ける、といった五感を研ぎ澄まし、想像力たくましく調査を行うことを全体で共有した。調査では興味深い報告がなされた。展示室の作品の中にヌシが描き込まれている可能性を指摘する隊員や、壁の亀裂などの痕跡からヌシの生息地を特定した隊員。また、外に広がる自然へと通じるような大きな窓が多いことから、砧の森と美術館を行き来するようなヌシなのではないかと考察する隊員や、作品の保管されている収蔵庫の扉に耳を押し付け、収蔵庫の中からヌシの咆哮を確認したという隊員がおり、実りのある調査を行うことができた。作品の保管されている収蔵庫の前で話し合う隊員収蔵庫で耳を澄ます隊員実地調査終了後、調査隊は調査本部に戻り、調査報告書にヌシの特徴を各自記録した。スギャーマ博士と各隊員の報告をもとに、ひとつのヌシの姿が浮かび上がってきた。報告書を作成する隊員たちの姿①報告書を作成する隊員たちの姿②報告書を張り出す様子 ヌシの生体について話し合う様子まず図像として現れたセタビの森のヌシ。全体に土や苔、花などの自然由来の体をしており、幾重にも枝分かれした手足は自在に形を変化させられる。また、葉脈のような翼をもつため、他の美術館へも飛んでいき作品を鑑賞するという。さらに三本に分かれた尾は、それぞれ土、苔、花という特徴を帯び、ヌシの歩いた道には花の香りが漂う。自然豊かな世田谷美術館らしいヌシが姿を現した。スギャーマ博士がイラストとしてまとめたヌシの姿こうして始まったヌシの制作。材料は、不要となった段ボールや新聞紙、緩衝材、美術館ならではの廃材など。これらの材料を目の当たりにした隊員たちは、開始と同時に即座に使えそうな材料を手に取り、制作を始めた。制作時の隊員たちの熱量には圧倒されるものがあった。人手が不足している場所では大きな声で応援要請がかかり、年長者の隊員が率先して隊員を率い制作にあたった。材料の紹介をしている様子制作風景制作も終盤に、ヌシの依代を乾かすべく大きな風を起こすため自分の身長ほどもある段ボールを持ち出しヌシを扇ぐ隊員たち。自然と掛け声が生まれ、「ヌシ~ヌシ~」とどこからともなく祈りにも似た掛け声が轟きはじめた。段ボールを手にヌシを扇ぐ隊員たち2日間にわたる制作の末、「セタビの森のヌシ」は完成した。茶色の土と所々に配される苔を纏う御姿は、まさに隊員一同が心に描いたヌシそのもの。隊員ひとりひとりの思いのこもった依代が完成した。完成したヌシの依代完成を喜ぶ隊員たち4月2日 いよいよセタビの森のヌシのお練りこうして迎えた4月2日のさくら祭では、ヌシの依代のお練りが行われた。錫杖【しゃくじょう】を鳴らしヌシのお練りを告げる音を音頭に「ヌシ~ヌシ~」という掛け声を上げ、桜の灯篭、桜の花吹雪、桃色に染まった法被【はっぴ】を纏ったヌシの曳き手が続き、ヌシの後方にはヌシの進む道に漂うという花の香りを演出するため、花をあしらった桃色の色紙をはためかせ歩き、最後尾にはお練り行列を引き立てる鳴物が続いた。ヌシは可動式になっており、ヌシの左右に控えた隊員が手足、両翼、三尾を動かしながら行進した。ヌシのお練りお練りの行先は、さくら祭の行われている美術館前の広場を抜けたクヌギの木のふもと。スギャーマ博士より、美術館が建てられる前からこの土地を守り続けるクヌギの木へヌシの依代が完成したことが報告された。スギャーマ博士よりヌシへの祝詞が述べられている様子お練り終了後、隊員には調査終了の祝いの品が配られた。書かれた言葉は「心眼成就」。ヌシの調査を通し、五感で空間を感じ、想像することの楽しさ、そして思いのこもった作品を作りあげることで、作品には命が宿るという不思議な体験ができた証として進呈された。お守りが手渡されている様子配られたお守り隊員たちの強い思いによってこの世に出現した世田谷美術館のヌシの姿は、隊員の心の中に生き続けるだろう。セタビの森のヌシは今日も世田谷美術館のどこかで暮らしているはず。世田谷美術館に来た際には、ぜひあなたもヌシの調査にご協力してほしい。以上で今回のヌシ調査の報告とする。クヌギの木とヌシ隊員の集合写真【実施概要】日時:2023年3月18日(土)、19日(日)、および4月2日(日)講師:スギャーマ博士 こと スギヤマカナヨ氏(絵本作家)静岡県生まれ。東京学芸大学初等科美術卒業。『ペンギンの本』(講談社)で講談社出版文化賞受賞。主な作品に『K・スギャーマ博士の動物図鑑』『K・スギャーマ博士の植物図鑑』(共に絵本館)、『ゾウの本』『ネコの本』『てがみはすてきなおくりもの』『山に木を植えました』(以上、講談社)●「謎の生きもの!? セタビの森のヌシ」イベントページはこちら
新着情報
「わたしたちは生きている! セタビの森の動物たち」展の関連イベントを下記のように開催いたします。3月30日(木)につきましては、1階企画展示室を含む当館館内にて実施いたします。ご了承ください。【蛙犬inセタビの森】蛙犬がセタビの森にやってくる!?蛙犬がセタビの森へ遊びにきます。遭遇をお楽しみに。[3月30日(木)]時間:11:00-11:30/15:30-16:00(予定) 場所:世田谷美術館館内(1階企画展示室を含む)※1階企画展示室は有料です[4月1日(土)・2日(日)]時間:さくら祭(10:00-15:00)の開催時間中 ※詳細は本イベントのページにてお知らせします。場所:さくら祭会場(当館エントランス広場ほか)※入場無料●本イベントの詳細はこちら●展覧会の詳細はこちら