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ミュージアム コレクション(終了)
1986年3月30日、世田谷美術館は東京都西南部の砧公園内に、郊外型美術館として開館しました。今期のミュージアム コレクションは、当館が開館した1986年に焦点をあて、約1万6千点の収蔵品の中から、この年に制作された作品を集めてご紹介します。さまざまな作品が混在しますが、それらを一堂に集めることで、当時の社会と美術の動向が垣間見えるのではないか、という試みです。バブル経済がはじまったといわれるこの年、写真家の高梨豊と平嶋彰彦は、都市再開発ブームのなか、日々刻々と変わる東京の一隅にある生活風景を、スナップ写真として留めました。またこの年の6月10日に、赤瀬川原平、藤森照信らは現代版「考現学」ともいえる「路上観察学会」を結成し、都市に対してユーモアを交えつつ批評的なまなざしを向けた活動を行いました。新しい絵画の動向としては、ニュー・ペインティングが80年代初頭より注目を浴びます。荒々しい筆致と明るく強い色彩を特徴とし、世界のアートシーンを席巻しました。本展では、イタリアのサンドロ・キア、フランチェスコ・クレメンテをはじめ、横尾忠則や大竹伸朗などをご紹介します。なお、本展出品の横尾忠則の作品は、この年、当館の地下創作室で公開制作されたものです。小コーナーでは、当館の開館に先立ちご寄贈いただいた塩田岩治、サキ夫妻旧蔵の北大路魯山人コレクションを展示します、魯山人は、80年代に漫画『美味しんぼ』のモデルとして美食ブームの火付け役となり、当館での展示も話題となりました。また本展では、建築家・内井昭蔵が「公園美術館」や「生活空間としての美術館」といったコンセプトのもとに設計した世田谷美術館のデザインやその建築のプロセスを、模型や竣工当時の写真などでご紹介します。美術館が開館した年をあらためて見つめなおし、当館の美術館活動の原点を振り返る機会としたいと思います。
イベント(終了)
1986年とはいかなる意味をもつか。『東京大学「80年代地下文化論」講義』の著者に、当時の東京における文化状況を中心に独自の視線でお話しいただきます。
イベント(終了)
1986年に誕生した「路上観察学会」の一員としての活動を、当時のご自身のお仕事やメンバーとの交流などを交えて振り返っていただきます。
刊行物
「あいさつにかえて」酒井忠康「設計者・内井昭蔵開館記念展「芸術と素朴」と「世田谷の美術」路上観察学会とゼミナールコース公開制作「横尾忠則のアトリエ」「ぜんぶ1986年」展 関連年表 編集・発行:世田谷美術館