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企画展(終了)
花の都と謳われた中部イタリアのフィレンツェは、人類史上もっとも精彩を放った「ルネサンス」文化を生み育てた都市です。ドナテッロ、ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、など数多くの美術家がこの町、あるいはこの町の近郊で生まれました。またダンテからマキャヴェリに至る天才たちをはぐくみ、「アルノ河畔の新しいアテネ」とも呼ばれています。のみならず、その後500年もの間、その当時の絵画、彫刻、建築物をはじめ橋梁やメディチ家の紋章を刻みつけた街路などを含め、都市そのものをほとんど完璧な姿で保存し、今日に伝えていることはまさに奇跡といっても過言ではないでしょう。 作品はウフィツィ美術館、バルジェッロ国立美術館、アカデミア美術館、ピッティ宮殿パラティーナ美術館などフィレンツェを代表する幾多の美術館から出品されます。さらに、これを補足して花の大聖堂(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)、サン・ジョヴァンニ洗礼堂、サン・マルコ修道院をはじめとして、トスカーナ州各地の20箇所もの伝統ある教会、聖堂、修道院、邸宅から合計84点の貴重な美術品が集められました。このことはルネサンスがフィレンツェ圏ともいうべき地域的広がりのなかで展開され、守り伝えられてきたという事実を示していると同時に、当時の偉大な文化遺産の多くが今日でもなお信仰の対象として、人々の生活にしっかりと根を下ろしていることを証明するものに外なりません。そのようなフィレンツェの豊かな精神状況を可能にし、また裏側でしっかりとそれを支えているのは言うまでもなく、イタリアの高い修復技術です。本展の重要な役割の一つが、この修復技術の初めての本格的な紹介であるということも、実はそうしたところに意義があるといえましょう。
刊行物
目次ごあいさつ「メッセージ」フランチェスコ・シジンニ「メッセージ」中山太郎「開催にあたって」ジョルジョ・デ・マルキス「修復の諸問題と展覧会の特徴について」ジョルジョ・ボンサンティ「フィレンツェ・ルネサンスの代表作―ある歴史の軌跡―」アントニオ・パオルッチ「ウフィツィ美術館素描コレクションと画紙修復工房」アンナマリーア・ペトリオーリ・トファニ「ルネサンスの美術家像」石鍋真澄カタログ絵画/フレスコ/彫刻/工芸デッサン修復資料「あくなき変革の伝統―フィレンツェ絵画小史―」勅使河原純年譜作品リストメディチ家系図ルネサンス時代の中・北部イタリアルネサンス時代のトスカーナ地方フィレンツェの市街図参考文献奥付監修:ジョルジョ・ボンサンティ、アントニオ・パオルッチ、アンナマリーア・ペトリオーリ・トファニ編集:世田谷美術館執筆:石鍋真澄、岡田温司、森雅彦、池上公平、遠山公一、勅使河原純、モニカ・ビエッティ、ジョルジョ・ボンサンティ、カテリーナ・カネヴァ、マルコ・チアッティ、クリスティーナ・ダンティ、ロレッタ・ドルチィーニ、フランカ・ファレッティ、アンナ・マリア・ジュスティ、アントニオ・ナターリ、ベアトリーチェ・パオロッツィ・ストロッツィ、アントニオ・パオルッチ、マニョリア・スクディエーリ、マリア・マティルデ・シマリ、アンジェロ・タルトゥフェリ、マリア・グラツィア・ヴァッカーリ、アンナマリーア・ペトリオーリ・トファニ翻訳:望月一史、エルマンノ・アリエンティ写真提供・撮影:NHKエンタープライズ、大日本印刷、スカラデザイン:武田龍二制作:美術出版デザインセンター発行:日本放送協会、NHKエンタープライズ、NHKプロモーション©1991