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企画展(終了)
長崎の街を見晴らす高台で、天空を仰ぎ見るように並ぶ「長崎26殉教者記念像」をご存じの方も多いと思います。この作品は、舟越保武が制作した数多くある野外作品のひとつです。 舟越保武は、ロダンの影響を受けた萩原守衛、高村光太郎らが切り開いた近代彫刻の意志を継承し、これを成熟させてきた作家の一人であり、現代の具象彫刻界を代表する作家であります。カソリックを深く信仰する舟越は、聖人や聖女を、多くの作品においてモティーフとしており、そこには彼の敬虔な祈りと、独特な澄明な詩心がこめられているようです。 また舟越は日本における本格的な大理石彫刻の開拓者であり、それは彼ならではの流麗で透明感あふれる表現になり得ており、卓越した技量と業績はここでも確実に示されています。 本展では、60年におよぶその芸術の軌跡を、初期の作品である昭和8年の「N君」から現代に至るまでの彫刻およそ80点と、素描50数点によって回顧するものであります。
刊行物
目次「舟越保武―人と芸術」匠秀夫「舟越保武と石彫」毛利伊知郎「舟越保武のエッセーと彫刻」舟木力英「舟越保武・表現と正面性」橋本善八「新たな創造の始まり―左手の作品について」守田均図版「武さん」佐藤忠良「孤独な芸術家・舟越」柳原義達「「朔太郎像」のこと」荻原葉子「聖なるもの」遠藤周作作家のことば舟越保武年譜舟越保武主要屋外設置作品舟越保武文献目録出品目録奥付監修:匠秀夫編集:舟越保武展実行委員会舟木力英(茨城県近代美術館)酒井哲郎(三重県立美術館)毛利伊知郎(三重県立美術館)芳野明(宮城県美術館)橋本善八(世田谷美術館)佐々木一成(岩手県教育委員会事務局文化課)撮影:5×7スタジオ 大谷一郎(彫刻)高瀬良夫(素描)但し82、83、116を除く制作:印象社発行:舟越保武展実行委員会©1993美術館連絡協議会、読売新聞社企画協力:空間造形コンサルタント