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企画展(終了)
ポスト冷戦以降、私たちは多くの新たな状況に直面しています。国境が大きく変わり、人々の移動もかつてないほど活発になり、自分のアイデンティティ、ルーツへ関心が高まりつつある今、国、民族といった問題が、新たな形で浮上してきています。 ヨーロッパとアメリカの間で、かつ太平洋に面したカナダは多くの民族によって構成された国であり、現在もアジア、アメリカ、ヨーロッパなどから多くの人々が流れ込み、また移動していきます。このように多様な文化が混在しているカナダでは、アーティストはコミュニケーションの前提、出発点をゼロから自分で設定しなければなりません。この展覧会では9人のカナダのアーティストの作品をご紹介致しますが、彼等の多くは、写真やヴィデオ、フィルムといった新しいメディアを用いています。これは、絵画や彫刻といった歴史的身体に関わる伝統的なメディアでは伝えきれない、複雑なリアリティや微妙な心理、感情のひだを表すための選択の結果ということができます。このようなメディアにまつわる一種のクールさ透明感、かつ流動する現状や人間関係をとらえる熱いまなざしと繊細な分析−カナダのアーティストたちの表現は、時代に向かう一つの方向を示唆してくれることでしょう。
ミュージアムショップ
目次「ナショナル・アイデンティティーの彼方に」ダイアナ・ネミロフ「はじめに―タイトルをめぐって」河本信治「立ち現われる現在:Nowhereへ」長谷川祐子カタログジュヌヴィエーヴ・カデュー Geneviève Cadieuxスタン・ダグラス Stan Douglasヴェラ・フランケル Vera Frenkelロドニー・グラハム Rodney Grahamアンジェラ・グラウワーホルツ Angela Grauerholzバーバラ・スタインマン Barbara Steinmanヤナ・スターバック Jana Sterbakジェフ・ウォール Jeff Wallクシュシトフ・ウディチコ Krzysztof Wodiczko作家略歴奥付編集:世田谷美術館(長谷川祐子、藤井亜紀、石井幸彦、東谷隆司)/京都国立近代美術館(河本信治)/北海道立近代美術館(佐藤友哉、越前俊也、水田順子)デザイン:桑畑吉伸制作:コギト発行:世田谷美術館、京都国立近代美術館、北海道立近代美術館©1995