[カタログ/2006年発行]
-開催概要から-
まだ見ぬ日常への案内者たち
1960年代以降、高度経済成長下で消費社会が促進されると、いわゆる絵画・彫刻といった美術と併走するかのように、デザイン、イラストレーションが新しく時代を表現するジャンルとして台頭してきました。デザイナー、イラストレーターはそれぞれ個人の表現としても作品を制作し、時代を導くリーダーとして扱われるようになっていきます。また、アーティストとも呼ばれ、近代以降につくられた美術との境界も、再び消えてしまったかのようにも見えます。また、近年では、デザインは物のフォルムの問題ではなく、ライフスタイルを提案するものとして、改めて考え直されているようです。
この展覧会ではデザインの領域で活躍している、長大作、細谷巖、矢吹申彦の制作活動の軌跡を辿ります。この3人は、世代も活動の分野も別々です。しかし、個人の意識とデザインという行為を照らし合わせそれぞれ独自のスタイルを築くなかで、新しいモードを創り出すことのみを目的とはせず、創造の基準となるものを探求、確立してきたようにみえます。この3人の活動を連続的に展覧することによって、それぞれの制作活動を見つめ直すとともに、様々なデザインに囲まれている私たちの生活の様相を、再確認することができないかと考えています。
この展覧会ではデザインの領域で活躍している、長大作、細谷巖、矢吹申彦の制作活動の軌跡を辿ります。この3人は、世代も活動の分野も別々です。しかし、個人の意識とデザインという行為を照らし合わせそれぞれ独自のスタイルを築くなかで、新しいモードを創り出すことのみを目的とはせず、創造の基準となるものを探求、確立してきたようにみえます。この3人の活動を連続的に展覧することによって、それぞれの制作活動を見つめ直すとともに、様々なデザインに囲まれている私たちの生活の様相を、再確認することができないかと考えています。
目次
「あいさつにかえて」酒井忠康
「生涯一デザイナー、長大作の真髄」桐山登士樹
長大作作品図版
「細谷巖〔異体字:巌の山の下に口が二つ〕の世界」木島俊介
細谷巖作品図版
「矢吹申彦―夢の中の風景」伊集院静
矢吹申彦作品図版
「まだ見ぬ日常への案内者たち」野田尚稔
長大作略歴・出品作品リスト
細谷巖略歴・出品作品リスト
矢吹申彦略歴・出品作品リスト
奥付
編集:野田尚稔、杉山悦子(世田谷美術館)
編集補助:髙林夏子
翻訳:スタンリー・N・アンダソン
表紙・扉デザイン:細谷巖
表紙・扉デザインアシスタント:竹村朋子(ライトパブリシティ)
制作:美術出版デザインセンター
発行:世田谷美術館
©2006 Setagaya Art Museum
2000円(税込)