[カタログ/1989年発行]
-開催概要から-
1985年、97年にわたる生涯を閉じたシャガールは、20世紀を代表する画家の一人としてしられております。その死後、手元に残されていた作品は、遺族の手によって相続税の代納として国家に納められました。画家が生前決して手放そうとはしなかったこれらの作品の中には、初期から晩年にいたる名作の数々が含まれており、それだけに画家の精神の深層が開示されているものと思われます。今回の展観は、そのうちの代表的なものに、従来からのパリ、ポンピドーセンター国立近代美術館の収蔵品を加えて、油彩48点、デッサン・水彩など98点、版画集5点の計151点により、いわば知られざるシャガールの全貌を明らかにしようとするものであります。20世紀がその最後の10年を迎えようとしている今日、この世紀を横断的に生きたシャガールの残した巨大な足跡を振り返ることは、近代へ向けて少なからぬ意義を有するものであると確信します。
目次
「シャガールのシャガール」アニェス・ド・ラ・ボーメル
「シャガール―近代を超えるもの」川口幸也
油彩(図版・作品解説)
水彩/素描(解説・図版)
版画集(図版)
「シャガールの作品におけるロシア的背景」ジャン=クロード・マルカデ
A.カメンスキーのインタビューに応えて
シャガール年譜
用語解説
参考文献
出品目録
奥付
編集:北海道立近代美術館(柴勤、中村聖司、岩瀬美由紀)、世田谷美術館(川口幸也)、兵庫県立近代美術館(宮下規久郎)、朝日新聞東京本社企画第一部
編集協力:パリ、ポンピドーセンター国立近代美術館(アニェス・ド・ラ・ボーメル、ヴィヴィアン・タレンヌ)
デザイン:米村隆
制作:美術出版デザインセンター
発行:朝日新聞社
朝日新聞社©1989
©A.D.A.G.P., Paris, 1989