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企画展(終了)
人間が生きる条件とは何かを思索しながら、戦後日本の新しい写真表現を切りひらいた奈良原一高(1931-)。本展では、1960年代のシリーズ〈スペイン 偉大なる午後〉に着目します。1962年から65年まで、自らの表現を問い直そうとヨーロッパに滞在した奈良原は、憧れのスペインで濃密な日々を過ごしました。分け隔てなく人を迎え入れる祭りの熱気、町から村へと車を走らせ出会った人々の姿、そして劇的な闘牛。若き写真家が生んだダイナミックなイメージの奔流には、すべては時とともに失われるという微かな予感も、潜んでいるようです。本展は〈スペイン 偉大なる午後〉から120点を厳選し、ニュープリントにより3章構成で紹介します。同時期の対照的なシリーズ〈ヨーロッパ・静止した時間〉の静謐さをたたえる15点も含め、135点で奈良原の「約束の旅」の軌跡をたどります。また、日本を代表するグラフィックデザイナー勝井三雄(1931-2019)とのコラボレーションも特集展示します。写真集『スペイン 偉大なる午後』(1969年)の外函デザインのための試作といった初公開資料のほか、ファッションデザイナーの森英恵も加わった華やかで実験的なコラボの試みとして、1960年代のカレンダーのヴィジュアルなども楽しめます。※本展関連企画のレクチャーには、すべて手話通訳が付きます。※本展の章解説をPDFでお読みいただけます。本画面を最後までスクロールし、「章解説PDF」をクリックして下さい。
イベント(終了)
「奈良原一高のスペイン――約束の旅」展のクロージングイベントとして、スペインのギターデュオ、アモス・ロラとハコ・アベルによる待望のライヴを行います。フラメンコとジャズがスリリングに交わる熱いひとときを、お楽しみください。チラシPDF
イベント(終了)
展示室で作品を前に、見たこと感じたことを言葉に表しながらグループで鑑賞します。会話による美術鑑賞に取り組んできた全盲の白鳥建二さん、美術館の学芸員、その日初めて出会う参加者と、それぞれの立場で、言葉を介して一緒に作品を見たら、どんな鑑賞ができるでしょうか。一人で見るのとは違う美術館の楽しみを体験してみてください。
イベント(終了)
初個展「人間の土地」から「スペイン 偉大なる午後」、そしてその後まで一貫する、奈良原の写真の本質を探ります。
イベント(終了)
美術館は、ひそかなドラマの宝庫。展示室で作品を見つめることから、演劇の初めの一歩をふみだしましょう。美術と演劇、どちらの初心者も大歓迎。
イベント(終了)
展覧会のねらいや見どころをわかりやすく紹介します。
イベント(終了)
このレクチャーでは、20世紀スペインが内外の写真家によってどのように撮られてきたか、という視点から、奈良原一高の〈スペイン 偉大なる午後〉の特色と魅力を探ります。闘牛、祭り、村の情景というテーマに注目して、ルイス・アレナス、ブラッサイ、インゲ・モラス、ユージン・スミス、ラモン・マサッツなど、20世紀前半から現代までのさまざまな写真家のまなざしと奈良原のまなざしを比較します。
イベント(終了)
展覧会毎に、様々な趣向を凝らした内容で、子どもから大人までその場で楽しめる簡単な工作などを行います。今回はタイルとモザイクをつかって、スペイン風のオーナメントをつくります。
ミュージアムショップ
目次「写真家の祖国」〔再録〕奈良原一高「挨拶にかえて」酒井忠康「旅のなかの日々」奈良原恵子図版プロローグ 遠い都市―シリーズ〈ヨーロッパ・静止した時間〉より解説 写真集『ヨーロッパ・静止した時間』第1章 祭り―シリーズ〈スペイン 偉大なる午後〉より「フィエスタ」第2章 町から村へ―シリーズ〈スペイン 偉大なる午後〉より「バヤ・コン・ディオス」第3章 闘牛―シリーズ〈スペイン 偉大なる午後〉より「偉大なる午後」解説 写真集『スペイン 偉大なる午後』論考「1960年代、奈良原一高の仕事と旅の軌跡」塚田美紀再録 ヨーロッパ、スペインへの旅をめぐるエッセイ 奈良原一高ヨーロッパ四万七千キロ/フィエスタ(抜粋)/バヤ・コン・ディオス(抜粋)/偉大なる午後(抜粋)/セビリアの朝特集 奈良原一高と勝井三雄―『スペイン 偉大なる午後』と60年代のコラボレーション資料奈良原一高 略年譜展覧会歴文献リスト 1959-70年の奈良原一高の仕事と評価出品リスト奥付2019年11月23日 第1刷発行執筆:奈良原一高、奈良原恵子、酒井忠康、勝井三雄、塚田美紀翻訳:ベンジャー桂編集:塚田美紀、野田尚稔(世田谷美術館)編集協力:多田亞生、別府笑(株式会社クレヴィス)編集補助:久保友美校閲:高橋賢アートディレクション:加藤賢策(LABORATORIES)デザイン:奥田奈保子(LABORATORIES)撮影:上野則宏(「特集 奈良原一高と勝井三雄」)発行者:岩原靖之発行:株式会社クレヴィス印刷製本:文化堂印刷株式会社ISBN978-4-909532-34-3Photographs by Ikko Narahara: ©2019 Ikko NaraharaThis publication as a whole: ©2019 Crevis Inc., Tokyo
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戦後日本の新しい写真を切り開いた奈良原一高(1931-)。11月23日(土)より始まる「奈良原一高のスペイン―約束の旅」展では、主にシリーズ<スペイン 偉大なる午後> に注目し、モノクロ写真約135点を厳選して展示するとともに、勝井三雄による写真集デザインをご紹介します。「奈良原一高のスペイン──約束の旅」プロローグ“プロローグ 遠い都市 ――シリーズ〈ヨーロッパ・静止した時間〉より”では、〈スペイン 偉大なる午後〉と同時期に撮影されたシリーズ〈ヨーロッパ・静止した時間〉から15点を展示しています。重々しく、独特の遠さを感じさせるこの〈ヨーロッパ・静止した時間〉 は 、 1965年11 月の『カメラ毎日』などに部分的に掲載された後、 1967年には奈良原の初の写真集として発表され、さまざまな賞を受けて話題になりました。1969 年には写真集としてまとめられた〈スペイン 偉大なる午後〉は、「偉大なる午後」、「フィエスタ」、「バヤ・コン・ディオス」というパートの順で進みますが、奈良原がスペインに見出したものをより身近に理解するために、展覧会場では「フィエスタ」からご紹介します。「奈良原一高のスペイン──約束の旅」第1章“第1章 祭り ――シリーズ〈スペイン 偉大なる午後〉より「フィエスタ」”は、北部パンプローナの牛追い祭りとして知られるサン・フェルミン祭から始まります。そして南部アンダルシア、セビーリャの春祭りとマラガの夏の祭りをとらえた作品が続きます。奈良原が深い共感を寄せた若者たちの熱気を感じてください。「奈良原一高のスペイン──約束の旅」第2章“第2章 町から村へ――シリーズ〈スペイン 偉大なる午後〉より「バヤ・コン・ディオス」”では、奈良原がとらえた味わい深い町や村の人々の佇まいと表情をご紹介しています。「奈良原一高のスペイン──約束の旅」第3章“第3章 闘牛――シリーズ〈スペイン 偉大なる午後〉より「偉大なる午後」”では、200頭もの闘牛を見た奈良原が心揺さぶられながら撮影した作品を展示しています。30歳を超えてまもない奈良原が自らのアイデンティティを模索する姿と、スペインの社会・文化の過渡期の状況が混淆する作品群をご堪能ください。写真集〈スペイン 偉大なる午後〉も、第3章でご覧いただけます。写真集<スペイン 偉大なる午後>「奈良原一高のスペイン──約束の旅」特集展示展示会場のラストは“特集 奈良原一高と勝井三雄――『スペイン 偉大なる午後』と60 年代のコラボレーション”です。勝井三雄は、写真集〈スペイン 偉大なる午後〉のデザインを手がけたグラフィックデザイナーであり、奈良原の親友でもありました。富士紡績のカレンダーや『婦人公論』の表紙などとともに、写真集<スペイン 偉大なる午後>の外函や見返しの色の源泉となった、奈良原がスペインから持ち帰った闘牛士のマント(カポーテ)も展示しています。シリーズ〈スペイン 偉大なる午後〉とは味わいの異なる、色鮮やかな展示をお楽しみください。皆さまのお越しをお待ち申し上げます。
新着情報
本展の主役である、奈良原一高先生が、2020年1月19日に心不全のため、88歳の生涯をとじられました。つつしんで、ご冥福をお祈りするとともに、展覧会開催にあたってご協力いただきましたことに、あらためて感謝を申し上げたいと思います。なお、御葬儀については家族だけで執り行い、後日、お別れの会を開かれるとのことです。 世田谷美術館