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企画展(終了)
土方久功(1900-1977)は1929年から10年以上にわたりパラオやサタワル島で暮らし、現地の人々や風景を主題とした彫刻、絵画を制作しました。また「民藝」の思想と芹沢銈介に影響を受け染色の道を志した柚木沙弥郎(1922-)は、身近な日常にある面白いものや楽しいことを原動力に100歳を迎えた今も精力的な活動を続けています。本展では世田谷美術館の収蔵品を中心に、平面、立体、絵本など多彩に広がる二人の創作をご紹介します。【展示構成と見どころ】展覧会は土方久功の作品を紹介するPart 1と柚木沙弥郎の作品を紹介するPart 2の2部構成となっています。●Part 1 土方久功―パラオ諸島、サタワル島で過ごした日々への憧憬・ブロンズ彫刻とマスク展示の冒頭では、土方久功が世田谷区豪徳寺にアトリエを構えた1950年代以降に制作された、時にユーモアを感じさせるブロンズ彫刻を、木々に囲まれた砧公園の景色とともにお楽しみいただけます。そして様々な表情をみせる、土方が現地で制作した(一部を除く)《マスク》10点もご紹介します。・木彫レリーフと水彩画ミクロネシアの自然や人々をモチーフに制作された木彫レリーフや、病を経て体力が衰えた後に多く描くようになったという水彩画をご紹介します。詩集や著書を出版している土方久功が、パラオ諸島やサタワル島での体験について記した言葉も、作品とあわせてご紹介しています。・絵本の仕事と雑誌『母の友』挿絵原画土方は1960年代より絵本の仕事にもたずさわり、岩波書店や福音館書店から『ぶたぶたくんのおかいもの』(福音館書店、1970年)や『おによりつよいおれまーい』(福音館書店、1975年)をはじめ5冊の絵本が出版されています。また福音館書店が刊行する雑誌『母の友』にも、サタワル島に伝わる民話などの物語を寄稿しました。本展では『母の友』のために描かれた挿絵原画を初公開します。そのなかには絵本『ぶたぶたくんのおかいもの』でおなじみの「ぶたぶたくん」の姿も。「ぶたぶたくん」誕生の経緯をご紹介するほか、サタワル島の民話を色鮮やかな色彩で描いた「おによりつよいおれまーい」(1971年11月号掲載)の原画なども展示します。●Part2 柚木沙弥郎―“自由であること” 楽しみを見つける日々の営みから生まれる創作・型染による表現世田谷美術館が所蔵する柚木沙弥郎の作品は、工芸家としての仕事から、より自由な創作活動を意識するようになった1982年以降の作品です。《コンストラクション》(2011年)をはじめ、シンプルで力強い造形力の染色作品25点をご紹介します。・柚木沙弥郎のアトリエからものと向き合う時間を大切にする柚木。旅先で目にしたメキシコの人形やインドの布など、気になったものたちは、しまわずに見えるところに並べられ、柚木を触発します。そうした品々の一部を展示します。また、家族へ贈ったクリスマスカードなど、柚木の日々の創作の一端もご紹介。これらを、長年にわたり柚木沙弥郎と時間をともにし、撮影してきた写真家・木寺紀雄による、アトリエの写真とともにご覧ください。・絵本の仕事と指人形《町の人々》柚木は、1994年の『魔法のことば』(金関寿夫・訳、CRAFT SPACE わ)を皮切りに絵本の仕事も手がけ、2004年には『トコとグーグーとキキ』(村山亜土・文、福音館書店)が出版されました。『トコとグーグーとキキ』は、前衛美術家の村山知義の長男で児童劇作家の村山亜土の遺作を、亜土の没後に柚木が絵本にしたものです。世田谷美術館の収蔵品《町の人々》は、この絵本のクライマックスの場面でサーカスを見ている人々を指人形にしたものです。柚木が身近にあった様々な布裂などを使って、夢中になってつくったという個性豊かな指人形たち。本展では、この人形たちが見ている絵本『トコとグーグーとキキ』のサーカスの場面を背景に人形たちを展示します。絵本の世界を体感ください。
ミュージアム コレクション(終了)
先人たちの技と心を受け継ぎつつ、新たな表現に挑戦する漆、金工、染織の工芸作家たちの作品を、当館の収蔵品を中心にご紹介します。出品作家は、漆工芸作家の関野晃平(1943-2014)と小栁種国(1944-)、親子で金工作家の道を歩む大須賀 喬(1901-1987)と大須賀 選(1931-)、そして井尾敏雄(1908-1994)と井尾建二(1945-)、染織の柳 悦孝(1911-2003)、山田 貢(1912-2002)、柚木沙弥郎(1922-)、志村ふくみ(1924-)、寺村祐子(1937-)、出口普子(1939-)、大槻圭子(1943-)、山縣百合子(1944-2009)大澤美樹子(1946-)の15名の工芸作家です。長い歳月を重ねて、人々の暮らしのなかで作られてきた工芸作品には、多くの先人たちの美意識や知恵と工夫が蓄積されています。本展では、こうした先人の心や技を受け継ぎながら、今日の生活や美意識を反映させた新たな作品づくりに取り組み、現代、そして次世代へと工芸の美を繋いでいく作家たちの作品をご堪能いただければ幸いです。 またコーナー展示では、「能面師 入江美法の世界」として、世田谷ゆかりの彫刻家で能面師として知られる入江美法(1896-1975)の能面や彫刻及び入江美法ゆかりの作品を紹介します。※本展関連企画の講演会には、すべて手話通訳が付きます。
ミュージアム コレクション(終了)
柚木沙弥郎(1922-)は柳宗悦の「民藝」と出会い、柳の紹介で芹沢銈介に師事し、染色家となる決意をします。柚木の染色は大胆な構図と色彩豊かな表現で、型染の世界に新風を吹き込みました。本展ではご寄贈頂いた作品を中心に、新作も併せてご紹介します。小コーナーでは土方久功の作品を紹介します。*コーナー展示 南洋への憧れ―日本のゴーギャン・土方久功の彫刻と水彩
イベント(終了)
担当学芸員が本展の見どころについてお話しします。
イベント(終了)
担当学芸員が本展の見どころについてお話しします。
イベント(終了)
2004年から企画展開催期間中の毎週土曜日に開催してきた名物イベント「100円ワークショップ」。小さいお子様から大人の方まで、どなたでもその場で気軽にご参加いただけ、その時に開催中の展覧会に関連した満足度の高い創作体験ができる人気講座です。今回は好きな形を切り抜いて、型染めのてさげ袋を作ります。企画・運営:世田谷美術館鑑賞リーダー(美術館ボランティア)●100円ワークショップについて 詳しくはこちらをご覧ください
刊行物
「柚木沙弥郎インタビュー」聞き手:岩崎清(ギャラリーTOM)・石井幸彦、記録:嶋田紗千、編集・発行:世田谷美術館
ブログ
世田谷美術館では現在「土方久功と柚木沙弥郎――熱き体験と創作の愉しみ」を開催中です。今回のセタビブログでは、土方久功(1900-1977)を取り上げます。柚木沙弥郎については既にブログがアップされていますので、こちらからご覧ください。土方久功は、東京美術学校(現・東京藝術大学)で彫刻を学んだ後、28歳から約13年もの間、パラオ諸島や、サタワル島という、カロリン諸島にある小さな島で暮らしました。もともと民族学や考古学に関心があったという土方は、現地の人々と暮らしながら作品の制作に励み、民族誌学的な調査も行いました。本展では、当館の収蔵品から、パラオ諸島滞在中に手がけた《マスク》のほか、不思議な生き物をあらわした彫刻や、現地の手斧で木の板を彫ったレリーフなど、帰国後に世田谷区豪徳寺のアトリエで制作された作品をご紹介しています。土方久功《マスク》1929-1949年、世田谷美術館…土方久功《二人(間の抜けた闘争)》1956年、世田谷…撮影:上野則宏これらの収蔵品に加え、今回、ご注目頂きたいのが童話の挿絵原画です。土方は『ぶたぶたくんのおかいもの』(1970年、福音館書店刊)をはじめ複数の絵本を出版し、福音館書店から刊行されている雑誌『母の友』にも童話の数々を寄稿しました。『母の友』には、絵本と同様「ぶたぶたくん」が登場するおはなしや、サタワル島の民話などが掲載されています。本展では、初公開となる『母の友』の挿絵原画の数々を展示しています。『母の友』第254号(福音館書店、1974年7月)「…「ぶたぶたくん」は、土方が戦後しばらく同居していた幼い姪との生活から生まれました。寝かしつける時に動物の鳴き声や動作を擬人化した即興の物語を聞かせており、最も喜ばれたのが「ぶたぶたくん」のおはなしだったそうです。童話の文章や挿絵には、子ども好きだったという土方のユーモアあふれる表現力が発揮されています。展覧会は11月5日(日)まで。砧公園のお散歩も心地良い季節になりましたので、ぜひお越しください。
ブログ
「世田美チャンネル」vol.34は、「2分ちょっとでよくわかる!! 土方久功と柚木沙弥郎の多彩な創作世界」をお届けします。現在開催中の企画展「土方久功と柚木沙弥郎――熱き体験と創作の愉しみ」の展示風景をご紹介、本展担当学芸員がふたりの作家それぞれの魅力を解説いたします。世田美チャンネル vol.34 「2分でちょっとでよくわかる!! 土方久功と柚木沙弥郎の多彩な創作世界」(約2分30秒) →世田美チャンネルをYoutubeで見る会期:2023年9月9日(土)~11月5日(日)開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)休館日:毎週月曜日 会場:世田谷美術館 1階展示室展覧会基本情報は《こちらをクリック》デジタルコンテンツ「世田美チャンネル」にもどる→こちら
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100歳を越える現在も創作意欲の尽きない柚木沙弥郎(1922-)。当館では、「土方久功と柚木沙弥郎―熱き体験と創作の愉しみ」として館の所蔵品を中心に土方久功(1900-1977)の作品と柚木沙弥郎の作品をご紹介します。展覧会の前半は、パラオ諸島とその周辺で10年以上を過ごし、その後世田谷区豪徳寺のアトリエで制作した土方の作品が展示されます。そして後半は、柚木が60歳を過ぎた1982年以降の作品を展示します。柚木は柳宗悦の「民藝」の思想と芹沢銈介の型染のカレンダーとの出会いをきっかけに、染色の道を歩み始めました。本展に展示される柚木の作品は、工芸家としての制作から、より枠に捉われない自由な創作を意識するようになった近年の作品です。染色作品はもちろん、絵本の仕事や指人形など多彩な表現を展開します。展覧会場には、柚木の日々の創作の源泉の場であるアトリエ空間を感じていただけるように、写真家・木寺紀雄による写真とともに、実際に柚木のお宅にある、柚木が気になる、いつも目の届くところに置かれている品々も展示するコーナーがあります。メキシコやペルーの民族玩具や、船や飛行機などの玩具、カラフルなリボンなど柚木の感性に触れられます。メキシコの人形(柚木氏のお宅から)インドの布など(柚木氏のお宅から)また、家族に贈った柚木手作りのクリスマスカードなど日々の暮らしの営みから生まれる柚木の創作をご紹介します。そして、当館の展覧会の会期とほぼ同時期の9月6日(水)から9月25日(月)まで、日本橋髙島屋S.C.本館8階ホールで「柚木沙弥郎と仲間たち」が開催されます。こちらの展覧会では、柚木と交流の深い作家たちの作品をご紹介されています。併せてご覧いただけると、より柚木の作品世界をご堪能いただけるでしょう。企画展「土方久功と柚木沙弥郎――熱き体験と創作の愉しみ」予告動画(27秒)「柚木沙弥郎と仲間たち」(日本橋髙島屋)の公式サイトはこちらhttps://www.takashimaya.co.jp/store/special/yunokisamiro/
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ミュージアム コレクションⅡは、全館使って当館の収蔵品を、<その1>と<その2>の全く異なる二つの切り口からご紹介しています。一般200円の観覧料で、この2つの展覧会両方をご覧いただけます。しかも、土、日、祝・休日は、小・中学生は無料でご観覧いただけます!まず、<その1>は2階展示室で開催している「吹田文明と版画集『東京百景』」です。社団法人日本版画協会(現・一般社団法人日本版画協会)が刊行した100名の作家による100点の東京をテーマにした版画作品を、前期・後期に分けてご紹介しています。併せて、この版画集の企画に関わり、当館に同版画集を寄贈くださった吹田文明氏の近作や、別コーナーにて、昭和初期の東京の風景を回顧して1945年に刊行された版画集『東京回顧圖會(とうきょうかいこずえ)』の恩地孝四郎や、川上澄生などの版画を展示しています。吹田文明と版画集『東京百景』会場風景吹田文明と版画集『東京百景」会場風景 そして、1階展示室では、<その2>として「再読‼ 5つの物語 美術が語る夢と現実」を開催しています。こちらの展覧会は、当館で2016年に開催した「コレクションの5つの物語」を再構成したものです。フランスの素朴派の画家や、柚木沙弥郎、ジャン=ミシェル・バスキアなど様々な作家の作品が並びます。「再読!! 5つの物語」会場風景「再読!! 5つの物語」会場風景当館のコレクションをたっぷりとお楽しみいただけるまたとない機会です。1階 扇形展示室1階の扇形展示室は、窓ごしの公園の風景をご覧いただけます。こちらは撮影可能です。晩夏から秋へと移ろいゆく季節の変化をゆっくりと味わってみてはいかがでしょうか。
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ゲスト:井尾建二(金工作家・日本工芸会正会員[金工部元会長]、武蔵野美術大学元講師、青山彫金金工スクール主宰)聞き手:村上由美(本展担当学芸員)世田谷美術館で、2020年4月12日まで開催中のミュージアム コレクション「受け継がれる工芸の技と心――そして現代へ」に関連し、出品作家のお一人で金工作家の井尾建二氏に金属という素材の面白さ、魅力、そして日本の伝統的な金工技法の特徴などについてお話しいただきました。※なお、新型コロナウイルス感染症の拡大状況などによっては臨時休館する場合がございます。何卒ご了承ください。※セタビPodcastingについてデジタルコンテンツ「セタビPodcasting」にもどる→こちら
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当館の収蔵品展、ミュージアム コレクションⅢ「受け継がれる工芸の技と心――そして現代へ」が始まりました。初日はあいにく冷たい雨が降るとても寒い日でしたが、染色家の柚木沙弥郎氏が、97歳というご高齢にもかかわらず、美術館へご来館くださいました。 実はつい最近、本展覧会のチラシの作成時に柚木氏にご確認いただくため、私は、柚木氏のお宅へFAXをお送りしたことがありました。柚木氏はちょうどご自身の展覧会でパリへ渡航中だったので、帰国後のお疲れがとれた数日後に私からご連絡をしようと思っていました。ところが、帰国直後、すぐに氏からご連絡があり、しかもまったく疲れた様子がなかったので大変驚いたことがありました。そのことを柚木氏にお伝えしたところ、「かえってパリへ行ったほうが元気になるんですよ。是非また行きたい。」とおっしゃられ、二度驚きました。 簡潔な力強いかたちが染められた柚木作品が放つ圧倒的なエネルギーは、こうしたお元気な精神性から生まれるのだとつくづく感じた瞬間でした。 柚木氏は女子美術大学で長年後進を育てていらっしゃいました。今回の展覧会の後半では、柚木氏をはじめ同じく女子美術大学で先生をされていた柳悦孝氏の作品、そして女子美術大学出身の作家の方々の作品を展示しています。是非、ご覧いただければ幸いです。