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企画展(終了)
イタリア彫刻というと、わが国ではすぐにマリノ・マリーニ、ジャコモ・マンズー、エミリオ・グレコ等の作品を思い浮かべる人が多いようだ。しかし、イタリア本国では彼らとともに、否ある意味では彼等以上の重要度をもって、もう一人のきわめて優れた彫刻家の名が挙げられるのが常である。その彫刻家とは、いうまでもなくペリクレ・ファッツィーニ(1913年〜1987年)である。彼は、近現代の偉大なるイタリア具象彫刻の山脈にあって、バロック的躍動感のうちに幻想性と、脱俗性を表わしてきた。人間精神のもっとも奥深い、聖なる部分に肉迫するその芸術は、われわれ日本人にとって必ずしも馴染みやすいものではないかもしれない。宗教的ひいては芸術的体験の乏しさが、その圧倒的なエネルギーに近づくことを困難に思わせてきたのだろう。 本展は、このような事情で、これまで日本にほとんど紹介されてこなかった「もう一人の巨匠」ファッツィーニの全体像を、ローマ国立近代美術館の共催のもとに初めて明らかにしていこうとするものである。
刊行物
目次ごあいさつメッセージ「ペリクレ・ファッツィーニの彫刻」ジョヴァンナ・デ・フェオ「近代イタリア彫刻と日本」井関正昭「めくるめく野性(ルビ:アルカイズム)と聖性(ルビ:カトリシズム)―ファッツィーニをめぐる断章」勅使河原純図版「精神・運動・構造〈ある自由精神についての思い出〉」飯田善國「ファッツィーニ先生」小野田宇花「ペリクレ・ファッツィーニ 生涯と作品」ヴァレリオ・リヴォセッキ「作品リスト、解説」ヴァレリオ・リヴォセッキ参考文献墓碑銘奥付編集:世田谷美術館(勅使河原純、塩田純一)、北海道立美術館(地家光二)、三重県立美術館(東俊郎)、広島市現代美術館(小田るな)翻訳:團名保紀、小田るな、須賀敦子、リア・ベレッタ、アンジェラ・ピーヴァ、バルバラ・ベルトッツィデザイン:武田龍二(美術出版デザインセンター)制作:美術出版デザインセンター 発行:ファッツィーニ展実行委員会、ローマ国立近代美術館©1990