(21件)
企画展(終了)
土方久功(1900-1977)は1929年から10年以上にわたりパラオやサタワル島で暮らし、現地の人々や風景を主題とした彫刻、絵画を制作しました。また「民藝」の思想と芹沢銈介に影響を受け染色の道を志した柚木沙弥郎(1922-)は、身近な日常にある面白いものや楽しいことを原動力に100歳を迎えた今も精力的な活動を続けています。本展では世田谷美術館の収蔵品を中心に、平面、立体、絵本など多彩に広がる二人の創作をご紹介します。【展示構成と見どころ】展覧会は土方久功の作品を紹介するPart 1と柚木沙弥郎の作品を紹介するPart 2の2部構成となっています。●Part 1 土方久功―パラオ諸島、サタワル島で過ごした日々への憧憬・ブロンズ彫刻とマスク展示の冒頭では、土方久功が世田谷区豪徳寺にアトリエを構えた1950年代以降に制作された、時にユーモアを感じさせるブロンズ彫刻を、木々に囲まれた砧公園の景色とともにお楽しみいただけます。そして様々な表情をみせる、土方が現地で制作した(一部を除く)《マスク》10点もご紹介します。・木彫レリーフと水彩画ミクロネシアの自然や人々をモチーフに制作された木彫レリーフや、病を経て体力が衰えた後に多く描くようになったという水彩画をご紹介します。詩集や著書を出版している土方久功が、パラオ諸島やサタワル島での体験について記した言葉も、作品とあわせてご紹介しています。・絵本の仕事と雑誌『母の友』挿絵原画土方は1960年代より絵本の仕事にもたずさわり、岩波書店や福音館書店から『ぶたぶたくんのおかいもの』(福音館書店、1970年)や『おによりつよいおれまーい』(福音館書店、1975年)をはじめ5冊の絵本が出版されています。また福音館書店が刊行する雑誌『母の友』にも、サタワル島に伝わる民話などの物語を寄稿しました。本展では『母の友』のために描かれた挿絵原画を初公開します。そのなかには絵本『ぶたぶたくんのおかいもの』でおなじみの「ぶたぶたくん」の姿も。「ぶたぶたくん」誕生の経緯をご紹介するほか、サタワル島の民話を色鮮やかな色彩で描いた「おによりつよいおれまーい」(1971年11月号掲載)の原画なども展示します。●Part2 柚木沙弥郎―“自由であること” 楽しみを見つける日々の営みから生まれる創作・型染による表現世田谷美術館が所蔵する柚木沙弥郎の作品は、工芸家としての仕事から、より自由な創作活動を意識するようになった1982年以降の作品です。《コンストラクション》(2011年)をはじめ、シンプルで力強い造形力の染色作品25点をご紹介します。・柚木沙弥郎のアトリエからものと向き合う時間を大切にする柚木。旅先で目にしたメキシコの人形やインドの布など、気になったものたちは、しまわずに見えるところに並べられ、柚木を触発します。そうした品々の一部を展示します。また、家族へ贈ったクリスマスカードなど、柚木の日々の創作の一端もご紹介。これらを、長年にわたり柚木沙弥郎と時間をともにし、撮影してきた写真家・木寺紀雄による、アトリエの写真とともにご覧ください。・絵本の仕事と指人形《町の人々》柚木は、1994年の『魔法のことば』(金関寿夫・訳、CRAFT SPACE わ)を皮切りに絵本の仕事も手がけ、2004年には『トコとグーグーとキキ』(村山亜土・文、福音館書店)が出版されました。『トコとグーグーとキキ』は、前衛美術家の村山知義の長男で児童劇作家の村山亜土の遺作を、亜土の没後に柚木が絵本にしたものです。世田谷美術館の収蔵品《町の人々》は、この絵本のクライマックスの場面でサーカスを見ている人々を指人形にしたものです。柚木が身近にあった様々な布裂などを使って、夢中になってつくったという個性豊かな指人形たち。本展では、この人形たちが見ている絵本『トコとグーグーとキキ』のサーカスの場面を背景に人形たちを展示します。絵本の世界を体感ください。
企画展(終了)
南洋・パラオで出会ったふたつの個性 1900年に生まれた土方久功(ひじかた・ひさかつ)、そして1909年に生まれた中島敦(なかじま・あつし)。二人が出会ったのは1941年7月、ミクロネシア諸島のパラオでした。時あたかも太平洋戦争勃発の直前、ドイツ領であったミクロネシアは、1920年のパリ平和会議によって日本の委任統治領となっており、日本はパラオのコロールに南洋庁を置き、南洋政策を進めていました。 土方はすでに1929年、パラオへと渡っていました。自らの制作のかたわら、現地の子供たちに彫刻を教え、あるいは神話の採取、民俗の調査に日々を重ねていました。いっぽう、あの「山月記」で知られる中島は、1941年、横浜高等女学校を退職し、パラオ南洋庁内務部地方課に日本語の編修書記として諸島に渡りました。 異国の地で出会った二人は気脈を通じ合わせましたが、中島は慣れない諸島生活のうち一年に満たぬまに風土病に冒され、来島の翌年には帰国しました。そして33歳にして敢なく逝きます。結果、彼の南洋行は命を縮めることになったともいえるでしょう。土方もまた中島と同船して帰国、中島の病床を見舞いつつも、再び南方に渡っていきました。そして76歳にいたるまで、独特で多岐にわたる創作に生きました。 本展では、土方久功の絵画、彫刻、レリーフ、そして彼のさまざまな詩作や現地で採取した民話などをご紹介します。そして中島敦については彼の遺した著作をはじめ、その原稿や書簡などを映像展示を交えご紹介します。
企画展(終了)
土方久功は、戦前、日本の委任統治領であったミクロネシアのパラオ、サタワルへわたり、その島々で島の人々とともに生活しながら、木彫、絵画を制作するとともに、民族学調査を行い、14年間を過ごすという、きわめてまれな体験を持った人物です。 土方は、1900年に東京小石川に生まれ、学習院初等科、中等科を経、東京美術学校彫刻科に入学しました。1927年、日本橋丸善で初の個展を開き、好評を得ました。1929年、南洋庁のあるパラオへ単身渡り、創作活動とともに、島の神話伝説の採集、部落組織、結婚制度などの民族学調査を精力的に行いました。それらの成果は後に著書、論文として発表され、民族学界に大きな反響をよびました。また、中島敦、丸木俊など、南洋に滞在した人々と親交を持ちました。 1942年、中島敦と一緒に帰国し、その後、岐阜県土田村へ疎開しました。帰京後、1949年頃より再び彫刻を始め、読売アンデパンダン展に参加し、また個展を開くなど、活発に作品を発表しました。1968年に心臓発作を起こしてからは、主として水彩画を制作しました。そして1977年、76歳で没しました。 本展は、木彫レリーフ、立体彫刻、水彩画、素描、マスクおよびあらたに発見された油彩画を加えた約200点の作品と、土方が収集した民族資料27点を展示し、彫刻家、画家であり、詩人であり、また民族史家であった土方の全人としての、多彩な活躍ぶりをご紹介するものです。
ミュージアム コレクション(終了)
柚木沙弥郎(1922-)は柳宗悦の「民藝」と出会い、柳の紹介で芹沢銈介に師事し、染色家となる決意をします。柚木の染色は大胆な構図と色彩豊かな表現で、型染の世界に新風を吹き込みました。本展ではご寄贈頂いた作品を中心に、新作も併せてご紹介します。小コーナーでは土方久功の作品を紹介します。*コーナー展示 南洋への憧れ―日本のゴーギャン・土方久功の彫刻と水彩
ミュージアム コレクション(終了)
第Ⅰ部 素朴派とその周辺第Ⅱ部 世田谷の美術第Ⅲ部 土方久功の世界
イベント(終了)
担当学芸員が本展の見どころについてお話しします。
イベント(終了)
担当学芸員が本展の見どころについてお話しします。
イベント(終了)
2004年から企画展開催期間中の毎週土曜日に開催してきた名物イベント「100円ワークショップ」。小さいお子様から大人の方まで、どなたでもその場で気軽にご参加いただけ、その時に開催中の展覧会に関連した満足度の高い創作体験ができる人気講座です。今回は好きな形を切り抜いて、型染めのてさげ袋を作ります。企画・運営:世田谷美術館鑑賞リーダー(美術館ボランティア)●100円ワークショップについて 詳しくはこちらをご覧ください
イベント(終了)
中島敦の名作小説「山月記」。思わず心奪われる朗読、中国語で聴く漢詩の響き、妖しく艶やかな二胡(胡弓の一種)の調べが、今まで体験したことのない「山月記」の世界にいざないます。ライヴ後半は、二胡の名曲の数々を心ゆくまでお楽しみください。
イベント(終了)
2008年1月12日(土) 朗読:朗読の会スピカ2008年1月19日(土) 朗読:朗読の会スピカ
イベント(終了)
2008年1月6日(日) 語り:遠藤良子(女優) 「ぶたぶたくんのおかいもの」、「ゆかいなさんぽ」(予定)
イベント(終了)
画家(土方久功)と作家(中島敦)の不思議な出会いがテーマ。「パラオ-ふたつの人生」展を舞台に、真冬の南の島の「ナゾノドラマ」をみんなでつくります。作った演劇の発表会は閉館後の誰もいない美術館…。
イベント(終了)
イベント(終了)
11月18日(日) 朗読:斉藤晴彦(俳優) 「山月記」11月23日(金・祝) 朗読:内田也哉子(文筆業・音楽業〈Sighboat〉) 「ある生活」ほか11月24日(土) 朗読:古今亭志ん輔(落語家) 「虎狩」
刊行物
「柚木沙弥郎インタビュー」聞き手:岩崎清(ギャラリーTOM)・石井幸彦、記録:嶋田紗千、編集・発行:世田谷美術館
刊行物
目次「あいさつにかえて」酒井忠康「パラオ―ふたつの人生」橋本善八「折原澄子さんにきく」聞き手・構成:橋本善八「土方久功とポール・ゴーギャン」岡谷公二「中島敦と南洋」勝又浩「「夢はパラオを」―独断的中島敦論」岩崎清「美術家・土方久功」野田尚稔日本のゴーギャン・土方久功絵画と彫刻再録―詩『土方久功遺稿詩集』より物語/眠れぬ夜/その沈黙を聞き乍ら/失題/私の室/アジンコートの沖/文明の顔/仮面/表現―自己確認/蟇と蟇と雀と私/通り魔/老い雀/すゝめ/独言/人が死んで行く/手帖断片/静かな朝再録―文献「わが青春のとき」(抜粋)土方久功/「ア・バイ」土方久功/「ア・バイの絵」土方久功/「思い出」土方敬子鬼才・中島敦原稿と絵画再録―小説下田の女/山月記/雞/寂しい島/名人伝再録―文献「トン」土方久功/「敦と私」湯浅克衛/「―中島敦―」氷上英廣/「中島敦の作品」深田久彌/「お礼にかへて」中島タカパラオ―ふたつの人生写真と書簡再録―日記「敦(ルビ:トン)ちゃんとの旅」(抜粋)土方久功/「南洋の日記」(抜粋)中島敦年譜、主要参考文献、出品目録「土方久功年譜」編:清水久夫「中島敦年譜」編:橋本善八「土方久功主要参考文献」編:清水久夫「中島敦主要参考文献」編:橋本善八出品目録奥付編集:橋本善八、野田尚稔(世田谷美術館)編集補助:北島瑛子、小金沢智写真撮影:大谷一郎(1-030を除く土方久功作品およびIII-184, 185, 186, 187, 188, 189)デザイン:川添英昭(美術出版デザインセンター)制作:美術出版デザインセンター発行:世田谷美術館©2007 Setagaya Art Museum
刊行物
目次ごあいさつ「土方久功―その人と芸術」清水久夫「民族誌家・土方久巧のミクロネシア研究」須藤健一図版作者の詩出品目録年譜参考文献出品作品一覧奥付編集・発行:世田谷美術館制作・印刷:光村印刷株式会社© 1991 Setagaya Art Museum, Tokyo
ブログ
世田谷美術館では現在「土方久功と柚木沙弥郎――熱き体験と創作の愉しみ」を開催中です。今回のセタビブログでは、土方久功(1900-1977)を取り上げます。柚木沙弥郎については既にブログがアップされていますので、こちらからご覧ください。土方久功は、東京美術学校(現・東京藝術大学)で彫刻を学んだ後、28歳から約13年もの間、パラオ諸島や、サタワル島という、カロリン諸島にある小さな島で暮らしました。もともと民族学や考古学に関心があったという土方は、現地の人々と暮らしながら作品の制作に励み、民族誌学的な調査も行いました。本展では、当館の収蔵品から、パラオ諸島滞在中に手がけた《マスク》のほか、不思議な生き物をあらわした彫刻や、現地の手斧で木の板を彫ったレリーフなど、帰国後に世田谷区豪徳寺のアトリエで制作された作品をご紹介しています。土方久功《マスク》1929-1949年、世田谷美術館…土方久功《二人(間の抜けた闘争)》1956年、世田谷…撮影:上野則宏これらの収蔵品に加え、今回、ご注目頂きたいのが童話の挿絵原画です。土方は『ぶたぶたくんのおかいもの』(1970年、福音館書店刊)をはじめ複数の絵本を出版し、福音館書店から刊行されている雑誌『母の友』にも童話の数々を寄稿しました。『母の友』には、絵本と同様「ぶたぶたくん」が登場するおはなしや、サタワル島の民話などが掲載されています。本展では、初公開となる『母の友』の挿絵原画の数々を展示しています。『母の友』第254号(福音館書店、1974年7月)「…「ぶたぶたくん」は、土方が戦後しばらく同居していた幼い姪との生活から生まれました。寝かしつける時に動物の鳴き声や動作を擬人化した即興の物語を聞かせており、最も喜ばれたのが「ぶたぶたくん」のおはなしだったそうです。童話の文章や挿絵には、子ども好きだったという土方のユーモアあふれる表現力が発揮されています。展覧会は11月5日(日)まで。砧公園のお散歩も心地良い季節になりましたので、ぜひお越しください。
ブログ
「世田美チャンネル」vol.34は、「2分ちょっとでよくわかる!! 土方久功と柚木沙弥郎の多彩な創作世界」をお届けします。現在開催中の企画展「土方久功と柚木沙弥郎――熱き体験と創作の愉しみ」の展示風景をご紹介、本展担当学芸員がふたりの作家それぞれの魅力を解説いたします。世田美チャンネル vol.34 「2分でちょっとでよくわかる!! 土方久功と柚木沙弥郎の多彩な創作世界」(約2分30秒) →世田美チャンネルをYoutubeで見る会期:2023年9月9日(土)~11月5日(日)開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)休館日:毎週月曜日 会場:世田谷美術館 1階展示室展覧会基本情報は《こちらをクリック》デジタルコンテンツ「世田美チャンネル」にもどる→こちら
ブログ
100歳を越える現在も創作意欲の尽きない柚木沙弥郎(1922-)。当館では、「土方久功と柚木沙弥郎―熱き体験と創作の愉しみ」として館の所蔵品を中心に土方久功(1900-1977)の作品と柚木沙弥郎の作品をご紹介します。展覧会の前半は、パラオ諸島とその周辺で10年以上を過ごし、その後世田谷区豪徳寺のアトリエで制作した土方の作品が展示されます。そして後半は、柚木が60歳を過ぎた1982年以降の作品を展示します。柚木は柳宗悦の「民藝」の思想と芹沢銈介の型染のカレンダーとの出会いをきっかけに、染色の道を歩み始めました。本展に展示される柚木の作品は、工芸家としての制作から、より枠に捉われない自由な創作を意識するようになった近年の作品です。染色作品はもちろん、絵本の仕事や指人形など多彩な表現を展開します。展覧会場には、柚木の日々の創作の源泉の場であるアトリエ空間を感じていただけるように、写真家・木寺紀雄による写真とともに、実際に柚木のお宅にある、柚木が気になる、いつも目の届くところに置かれている品々も展示するコーナーがあります。メキシコやペルーの民族玩具や、船や飛行機などの玩具、カラフルなリボンなど柚木の感性に触れられます。メキシコの人形(柚木氏のお宅から)インドの布など(柚木氏のお宅から)また、家族に贈った柚木手作りのクリスマスカードなど日々の暮らしの営みから生まれる柚木の創作をご紹介します。そして、当館の展覧会の会期とほぼ同時期の9月6日(水)から9月25日(月)まで、日本橋髙島屋S.C.本館8階ホールで「柚木沙弥郎と仲間たち」が開催されます。こちらの展覧会では、柚木と交流の深い作家たちの作品をご紹介されています。併せてご覧いただけると、より柚木の作品世界をご堪能いただけるでしょう。企画展「土方久功と柚木沙弥郎――熱き体験と創作の愉しみ」予告動画(27秒)「柚木沙弥郎と仲間たち」(日本橋髙島屋)の公式サイトはこちらhttps://www.takashimaya.co.jp/store/special/yunokisamiro/
ブログ
ミュージアム コレクションⅡは、全館使って当館の収蔵品を、<その1>と<その2>の全く異なる二つの切り口からご紹介しています。一般200円の観覧料で、この2つの展覧会両方をご覧いただけます。しかも、土、日、祝・休日は、小・中学生は無料でご観覧いただけます!まず、<その1>は2階展示室で開催している「吹田文明と版画集『東京百景』」です。社団法人日本版画協会(現・一般社団法人日本版画協会)が刊行した100名の作家による100点の東京をテーマにした版画作品を、前期・後期に分けてご紹介しています。併せて、この版画集の企画に関わり、当館に同版画集を寄贈くださった吹田文明氏の近作や、別コーナーにて、昭和初期の東京の風景を回顧して1945年に刊行された版画集『東京回顧圖會(とうきょうかいこずえ)』の恩地孝四郎や、川上澄生などの版画を展示しています。吹田文明と版画集『東京百景』会場風景吹田文明と版画集『東京百景」会場風景 そして、1階展示室では、<その2>として「再読‼ 5つの物語 美術が語る夢と現実」を開催しています。こちらの展覧会は、当館で2016年に開催した「コレクションの5つの物語」を再構成したものです。フランスの素朴派の画家や、柚木沙弥郎、ジャン=ミシェル・バスキアなど様々な作家の作品が並びます。「再読!! 5つの物語」会場風景「再読!! 5つの物語」会場風景当館のコレクションをたっぷりとお楽しみいただけるまたとない機会です。1階 扇形展示室1階の扇形展示室は、窓ごしの公園の風景をご覧いただけます。こちらは撮影可能です。晩夏から秋へと移ろいゆく季節の変化をゆっくりと味わってみてはいかがでしょうか。